「若い女を追っかける酒好きの男」

 携帯電話の着メロサイトに「世界音楽紀行」というものがあり、ここでは世界の民族音楽や民謡の着信メロディーをダウンロードできるようになっているのだが、僕は主にロシア民謡をダウンし、感慨に浸っていたのである。「ポーリュシュカ・ポーレ」「カチューシャ」「コロブチカ」は特に有名だが、他に「ともしび」「道」「バルカンの星の下に」なども悲しげなメロディーが涙を誘うのである。

 他の国の音楽も気になった。そこで、なんとなくタイの音楽のページに行ってみた。国別の検索で、タイのリストを開いた。
 曲名が幾つか出てくる。
 最初にあったのはこれだ。

 「アルコール中毒の男」

 さらに見てみると、次に出てきたのは、「怠け者」である。「若い女を追っかける酒好きの男」というのもあった。

 何というタイトルなんだ。こんなだらだらしたタイトルの民謡は、恐らく世界でも稀有である。
 聞くところによると、タイの民謡はかなりダサいらしいので、曲名を付ける際にもそれを自覚し、そのダサさを強調すべく名づけたとしか思えないのだ。悲壮的というよりは、滑稽なのであり、そのタイトルの滑稽さが曲のダサさとうまく結び付いている。

 タイ民謡はまだ続く。

 「かっこいい女に会いたい」

 「北の女はきれいだ」

 「毎日ブック・カード・ジョールしか食べない男」

 「ズボンを盗んだ男」

 脱力を極めた曲名ばかりである。ネットで調べてみたところ、「タケノコばかり食べさせる女」というのもあった。

 タイというのは一体どんな国なんだ。本当にこんな感じの脱力系の雰囲気の漂う国なら、一度行ってみたいと思うのだ。
 ただ、ズボンを盗まれるのは嫌だ。


[戻る]
inserted by FC2 system